高機能エラストマー市場 世界市場動向2

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今回は高機能エラストマー製品の中で、自動車向けを中心に、建築・土木、雑貨、日用品などに幅広く使われ、市場、成長が注目されている架橋型オレフィン系エラストマー(TPV)を取り上げた(第2図)。

第2図 架橋型オレフィン系エラストマー(TPV)の世界市場推移
TPVの需要はウェザーストリップ等の自動車部品向けが6割以上を占めることから、自動車の生産台数に左右される。2013年は北米、中国市場における自動車生産台数の拡大や新興国での自動車市場の拡大によって、TPVの需要が拡大した。また、成形加工性の向上、コストダウン等を目的にエチレンプロピレンゴム(EPDM)からの代替需要があった他、軽量化や環境対応のためポリ塩化ビニル(PVC)からの代替もあり、高い成長率を示した。

2014年は中国、東南アジアで自動車需要の伸び率が鈍化したものの、北米、ないし中国における自動車生産台数の拡大とEPDM、PVCからの代替需要があり、TPVの需要は堅調に拡大した。

今後は中国における自動車生産台数の拡大と東南アジアやインド、中南米といった新興国における自動車市場の拡大が牽引となって、当該市場は拡大していく見通しである。また、欧州自動車メーカーのようにウェザーストリップにEPDMを多用しているところから、TPVの代替需要が期待されている。

地域別にみると、2013年は、中国、北米、欧州、日本の需要比率が高い。中国は、日米の自動車メーカーの生産拠点があり自動車部品向けが中心だが、雑貨・生活日用品、建材向けも多くなっている。日本は、自動車向けが数量ベースで7割を占めている。東南アジアは、日米自動車関連メーカーの生産拠点が中国からシフトしていることで、今後の伸長が期待される。

次に用途別動向に触れてみる。まず、自動車用途はEPDMやPVCの代替としてウェザーストリップ(グラスランチャンネル)やラック&ピニオンブーツ、エアダクト、ドアトリムなどの内装表皮材に採用されている。日本や米国では、ほぼ代替が完了している。

欧州では水添TPSやEPDMの採用がメインであるが、今後EPDMの代替需要が期待されている。欧米自動車メーカーは環境規制に対応するためドアトリム、インストルメントパネルの表皮材でPVCからTPVに切り替えている。

ドアトリムは最も早くオレフィン化の進んだ部品であり、表皮材にTPVが多く使用されている。TPVは成形性や感触、耐寒性などに優れ、各種オレフィン系樹脂に対する接着性も高いため、PVC代替の表皮材として需要が拡大している。

インストルメントパネルは耐候性や耐熱性、成形加工性などが要求される部品であり、中クラス以上の車種では、クッション層のある表皮でカバーされ、TPVが採用されている。

ドアトリムやインパネ等の内装表皮材は、ポーラス電鋳金型で真空成形時に絞を転写するIMG真空成形工法が増加中でPVCより絞転写性に優れるTPVのニーズが高まっている。

ウェザーストリップ、ボディシール、ドアシールなども中国、東南アジア、米国を中心に増加している。ベルトラインシールは自動車窓とボディの間に使用されるシール材であり、高剛性、寸法精度、耐擦傷性、耐薬品性、耐候性などが要求されTPVとTPSの2色成形品が採用されている。TPVは耐擦傷性、耐薬品性、耐候性が必要とされる表層のスキン材に採用され、ダッシュボードでは、しぼり成形やPP発泡体とTPVを2色成形する技術が確立されている。

HEVやEVに搭載されているリチウムイオン2次電池の端子間の短絡防止や電解液漏出防止に使用するガスケットに、耐薬品性に優れるTPVの採用が見込まれている。PVC並みの難燃性、耐磨耗性、加工性を実現することでEV、PHVの充電用ケーブルや、加硫ゴム並みの耐熱性、耐油性を実現することでエンジン回り(ガスケット、フィラーネック、ホース類)等の新規代替需要の獲得が図られている。

欧州では水添TPSやEPDMの採用がメイン

建材用途では圧縮永久歪や耐熱性、引張り強度、耐油性の向上が必要な用途で、主にPVCの代替でTPVが使用される。建築・土木用途の中ではガスケット向けの数量が最も多く、防水シート、止水シート、グリップ類の需要も比較的多い。

雑貨・日用品用途ではペンや歯ブラシ、剃刀、玩具といった雑貨・日用品のグリップや表皮材に用いられている。日米欧ではメーカーの生産拠点が海外へ移管しており、TPVの当該用途向け需要は減少傾向にあり、移管先の中国、東南アジアで需要量が拡大している。

家電用途では射出成形可能で柔軟構造を要する製品に使用されており、洗濯機や掃除機、エアコンなど白物家電のホースやガスケット、電子機器の防振材などに用いられている。尚、電源コードの被覆材にも使用されていたが、現在はPVCに回帰している。

その他の注目用途としては、通信ケーブルや太陽光発電、風力発電のケーブル被覆用に使用されており、需要が増加している。また、空調設備の配管に使用される風量・風向き調整用ダンパーのシール材は高いシール性が要求される。

参考文献:「2015年 高機能エラストマー・応用製品市場の展望とグローバル戦略」
(2015年01月07日:富士経済)

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