農産品栽培ビジネスの国内市場 市場動向1

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日本の農業は高齢化や、離農などによる従事者の減少という問題を抱えている。この問題を解決するため、政府は強い農業づくりを目指し、農地を集約・大規模化して競争力の強化を図る様々な規制改革・緩和を検討・実施すると同時に、高収量化/高品質化/栽培可能な作物・品種の増加などの取り組みに対し、補助金を交付している。

また、養液栽培プラントの輸出推進、食への安全意識向上に伴うトレーサビリティの強化などにより、栽培プラントおよび装置・機器・資材、IT・ネットワーク技術、環境負荷低減型アグリ資材の市場は今後成長が期待されており、農業の新たな産業活性化に向けた動きが活発となっている。

その背景には、下記のような社会環境が挙げられている。

■(1)農業関連市場を取り巻く社会環境
高齢化や離農に伴う農業従事者の減少→農業の高効率化ニーズの拡大
政府によるTPPへの参加表明、植物工場の輸出推進
改正農地法の施行→企業の農業参入を容易にするための規制緩和が今後進む可能性あり
農林水産省による「次世代施設園芸導入加速化支援事業」の実施、消費者庁による「機能性表示」の対象枠の拡大(農産物でも可能、2015年度より開始)等、政府によるバックアップ
「食の安全・安心」に対する消費者意識の高まり→食品のトレーサビリティへのニーズが拡大
地産地消、店産店消コンセプトの普及

そこで、本稿では、植物工場等の養液栽培関連プラント市場と、養液栽培や施設栽培用のプラント向けに用いられる構成機器や装置・資材市場、農業向けに用いられるIT/ネットワーク技術市場、化学農薬に代替する環境負荷低減型アグリ資材市場の4つの領域に注目して、栽培ビジネス関連市場を俯瞰した。

<栽培ビジネス関連市場の市場規模推移>
市場領域2014年前年比2020年予測2014年比
養液栽培プラント88億円104.8%196億円2.2倍
栽培装置・機器・資材471億円109.0%604億円128.2%
栽培IT・ネットワーク技術17億円113.3%21億円123.5%
環境負荷低減型アグリ資材24億円104.3%25億円104.2%
合計600億円108.1%846億円141.0%
富士経済調べ

2014年の同関連市場全体は、金額ベースで前年比約8%増の約600億円となった。全体市場に於ける各分類の構成比としては、養液・施設栽培関連装置・機器・資材市場が全体の約79%を占め、次いで養液栽培関連プラント市場が同約15%、環境負荷低減型アグリ資材市場が同約4%、栽培関連IT・ネットワーク技術市場が同約3%となっている。

2011年以降、東日本大震災に起因した震災復興特需は当該市場の大幅な拡大に寄与してきた。また、2014年2月に関東地方を襲った記録的な大雪に伴う雪害からの復旧特需も、一部特定市場の拡大には大きく寄与した。しかし、2015年以降、震災や雪害関連特需は沈静化に向かい、当該市場拡大への寄与は縮小し、結果、2015年の成長率は前年比約2%に留まるとみられる。

現在、日本の農業は農業従事者の高齢化や離農などに伴う、農業従事者の減少といった課題を抱えている。こうした課題への取り組みとして、政府は強い農業づくりを目指し、小規模な農地を集約し、大規模な農業経営を行う事業者の増加を図るべく、農業分野に於ける様々な規制改革を実施すると同時に、将来的な大規模栽培施設に於ける高効率化・高収量化・高品質化に寄与する取り組み(技術開発や試験栽培など)に対し、補助金を交付するなどしてサポートしている。

こうした政府の取り組みを背景に、今後は農業法人の新設や民間企業の農業への参入などが加速するとみられる。

本稿にて取り上げた各品目は、農業の高効率化・高収量化・高品質化に寄与するものが多い。従って、今後はこうした農地集約に伴う大規模な農場経営者の増加や民間企業の農業への参入、農業法人の新設などによる、農業の“工業化”への取り組みが、当該市場を拡大させるとみられる。

■(2)各領域別にみる栽培ビジネス市場の方向性
植物工場・
栽培システム・
機器・
資材市場
・遊休地の利用、雇用創出などを目的とした企業の農業参入及び、土地集約による企業経営志向の大規模農家の増加

・栽培コスト低減に向け、省エネ/再生可能エネルギー、トリジェネレーション技術(※)等を導入した植物工場の増加

・高付加価値作物(果菜類・機能性野菜など)を栽培する生産者の増加
栽培(生産)市場・遊休地の利用、雇用創出などを目的とした企業の農業参入及び、土地集約による企業経営志向の大規模農家の増加

・栽培コスト低減に向け、省エネ/再生可能エネルギー、トリジェネレーション技術(※)等を導入した植物工場の増加

・高付加価値作物(果菜類・機能性野菜など)を栽培する生産者の増加
加工・
流通・
販売市場
・企業・農業生産法人、大規模農家による市場外流通の拡大

・露地物との競合を見据えた低価格品の販売、差別化により価格競争を避けた作物(機能性野菜など)の販売、六次産業化により一層の差別化を図った製品(加工品)の販売など、販売方法の多様化
農業ICT関連市場・栽培環境、生産状況可視化の実現→栽培技術の情報集約・分析手法の向上

・蓄積データを活用した栽培指導や生産コストの削減&農作業負担を軽減

・トレーサビリティ情報の開示による生産品の消費者への「安心・安全」を訴求
※トリジェネレーション(tri-generation):、コジェネレーション(熱電併給)に対して、熱源から生産される熱、電気に加え、発生する二酸化炭素(CO2)も有効活用するエネルギー供給システムを意味する造語。

参考文献:「アグリビジネスの現状と将来展望 2015」
(2015年01月21日:富士経済)

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