農産品栽培ビジネスの国内市場 市場動向2

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前回は、4つの領域から栽培ビジネス市場の全体像を俯瞰したが、第2回目はその領域内で成長性が期待される製品の動向を見てみた。

■(1)養液栽培プラント市場規模推移

 2014年前年比2020年予測2014年比
植物工場55億円134.1%155億円2.8倍
湛液型栽培プラント8億円88.9%8億円100.0%
NFT栽培プラント6億円85.7%8億円133.3%
固形培地栽培プラント20億円71.4%26億円130.0%
合計88億円104.8%196億円2.2倍
富士経済調べ

完全人工光型の植物工場(以下、植物工場)、太陽光利用型の湛液型栽培プラント、NFT栽培プラント、固形培地栽培プラントを数値の対象としている。植物工場には、採用される各種栽培プラント(湛液型、NFT、固形培地)、栽培装置・機器、IT技術の他、建屋の材料費用や工事費用なども含まれる。

2014年の植物工場は、企業の遊休地を活用した案件の増加、大学や研究機関、福祉施設向けの小規模プラントやユニット型の導入案件の増加、高齢者雇用や障害者雇用に伴う各種助成金を活用した案件の増加などにより、前年比34.1%増の55億円となった。一方、比較的大規模な震災復興の案件が一巡したことで、太陽光利用型の伸びが前年より鈍化した。

植物工場では、これまで小規模プラントやユニット型を導入して試験栽培を実施してきた企業が、事業収益性の追求へと転換し、増設による大規模化を進めている。また、植物工場の海外展開の加速、高収量化/高品質化/栽培可能な作物・品種の増加による栽培事業への新規参入が期待されるため、今後も拡大が予想される。

■(2)栽培装置・機器・資材市場規模推移

 2014年前年比2020年予測2014年比
灌水/給液管理装置7億円91.8%10億円142.9%
栽培用空調機器103億円116.8%179億円173.8%
植物育成用光源21億円144.7%73億円347.6%
固形培地21億円99.1%24億円114.3%
ガラス/フィルムハウス295億円106.0%286億円96.9%
養液栽培用肥料25億円107.3%34億円136.0%
合計472億円109.0%606億円128.4%
富士経済調べ

灌水/給液管理装置、栽培用空調機器、植物育成用光源、固形培地、ガラス/フィルムハウス、養液栽培用肥料を対象にしている。

栽培用空調機器は、重油などを燃料としたボイラと電気を動力としたヒートポンプエアコンがある。燃料ボイラはリプレースが中心となっており、機器寿命が長いことから、市場は縮小するとみられる。一方、重油価格の高騰を受けて2012年度より農林水産省が燃油価格高騰緊急対策として補助事業を開始しており、ヒートポンプエアコン導入が拡大している。暖房能力が高いため燃料ボイラを継続して利用する生産者は一定数いるが、今後も補助事業が継続する可能性が高く、拡大が予想される。

植物育成用光源は、植物工場の増加により拡大している。これまではイニシャルコストが安価との理由から蛍光灯を光源とした植物工場が多かったが、2013年以降は生産品の低価格化や、高収量化/高品質化に向けた栽培研究が進んだこと、昨今の電気料金の高騰に対応すべく栽培コスト低減に寄与する装置や機器・資材への需要拡大を背景に、LEDを光源に導入するケースが増加しつつある。

ガラス/フィルムハウスは震災復興特需に、関東地方の雪害からの復旧特需が重なり2014年は拡大した。2015年以降は、これらの復興特需の一段落し、一旦縮小するものの、中長期的には施設栽培需要の拡大に伴い、緩やかな伸びが期待できる。

■(3)栽培IT・ネットワーク技術市場規模推移

 2014年前年比2020年予測2014年比
環境制御装置12億円119.0%10億円83.3%
栽培管理・モニタリングシステム6億円105.6%10億円166.6%
合計17億円114.2%20億円117.6%
富士経済調べ

環境制御装置、栽培管理・モニタリングシステムを対象としている。環境制御装置は震災復興特需に、関東地方の雪害からの復旧特需が重なり、2014年は前年比で二桁増となった。今後は、農地集約による大規模化や、企業の農業参入に伴う栽培の高効率化要求の高まりにより、中長期的にも拡大が期待できる。

栽培管理・モニタリングシステムは、生産組合がシステム導入し、組合員がそのシステムを共用する自己導入型と、ベンダーが提供するクラウドサーバーを活用したSaaS型に分類される。これまでは栽培の高効率化を目指した栽培履歴管理や栽培環境のモニタリングの範囲で導入されていたが、近年は政府による農業施策の促進もあり、加工や流通まで広げた管理の効率化を目的とした導入が増加している。

■(4)環境負荷低減型アグリ資材市場規模推移

摘要/年次2014年前年比2020年予測2014年比
天敵農薬11億円110.3%13億円118.1%
微生物農薬13億円98.3%12億円92.3%
合計24億円103.4%25億円104.2%
富士経済調べ

天敵農薬、微生物農薬を対象としている。天敵農薬は「管理が難しい」「即効性が低い」「高価である」などのデメリットはあるものの、有機農法でも使用可能なため、昨今の食の「安全・安心」に対する要求の高まりや、IPM(Integrated Pest Management)の推進などにより、僅かながら増加している。

微生物農薬は糸状菌、細菌、ウイルスなどの微生物を有効成分としたものであり、殺虫剤としてはBT水和剤(バチルス・チューリンゲンシス製剤)、殺菌剤としてはバチルス・ズブチリスが最も普及している。「特定の微生物にしか効果が無い」「使用環境によって効果にばらつきがある」「即効性に乏しい」などが理由で、需要は緩やかに減少しており、これらの課題に対して改善が図られない限り、今後もこの傾向は続くとみられる。

参考文献:「アグリビジネスの現状と将来展望 2015」
(2015年01月21日:富士経済)

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