機能性高分子フィルム市場 市場動向3

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■注目機能性高分子フィルム製品の市場展望
機能性高分子フィルムの注目用途分野は、自動車・産業用が挙げられる。FPD・エネルギー分野に次いで三番目のシェアを有し、市場規模は2014年時点で約2660億円が見込まれ分野別シェアは8.6%を占める。上位2分野に比して、さほど大きな市場規模とは言えないが、2018年には2014年比で17%増となると見込まれ、他の応用分野と比べると高い成長性が見込まれている。

特に、新興国での自動車需要増加、HV・EVなど次世代自動車の生産台数増加によって市場拡大しており、当該分野向けで3割以上(2014年)を占める自動車用ウィンドウフィルム向けがけん引している。また、需要規模は小さいものの自動車向けモーター用絶縁材や自己修復フィルムは大きく伸びるとみられる。

一方、電子機器向けの比率が大きい転写フィルム、フィルムコンデンサー用フィルム、MLCC用離型フィルム、航空機向けの比率が大きいCFRP用離型フィルムの伸びは小幅にとどまるとみられる。

この他、FPD分野と半導体・実装分野では、スマートフォン・タブレット端末などの生産台数増加で拡大しているが、価格競争などによる単価の下落もあり、今後は微増と予想される。しかし、FPD分野はOLEDディスプレイ向け、半導体・実装分野は自動車やウェアラブル端末、IoT関連製品向けなど新たな需要も期待される。

バリアフィルム分野では食品包装向けを中心に一定の需要があり、安定的に拡大するとみられる。エネルギー分野では太陽電池とリチウムイオン二次電池に使用されるフィルムが応用製品の需要増加と共に拡大が予測される。

一方、日本国内市場は建材・インフラ分野が注目されている。市場規模は2014年が1,548億円となり、2018年には2014年比18.3%増(1,831億円)になる見込みだ。

改修、省エネ、震災復旧をキーワードに、建材・インフラ分野における機能性高分子フィルムの市場が拡大しており、今後は東京五輪やアベノミクスなどによるインフラ建設、改修需要の増加が期待される。建築物の老朽化による漏水を防ぐ防水シート、震災による瓦礫や低汚染物質の仮置き場に使用される遮水シートが市場の半数を占め、今後もけん引するとみられる。また、市場規模は小さいものの防湿気密フィルムが大きく伸びるとみられる。

この他、ライフサイエンス分野では医療向けのフィルムや紙おむつで使用される通気性フィルムなどを対象としており、高齢化などを背景に拡大が予想される。

■注目される製品市場
①モーター用絶縁フィルム世界市場【自動車・産業用分野】
2014年見込2018年予測2014年比
17億円38億円2.2倍
富士キメラ総研調べ

HV・EVの駆動用モーター・ジェネレーター(発電用モーター)に内蔵される絶縁材の内、スロットライナー、ウェッジ、相間絶縁紙を対象としている。

HV・EVの駆動用モーターには分布巻と集中巻モーターのタイプがあるが、絶縁フィルムは、分布巻モーターにのみ利用され、より大きな出力が可能な分布巻モーターのウェイトが今後高まるとみられることから、2014年から2018年までの年平均成長率は22.3%と高成長が予測される。

絶縁材は耐熱性、電気絶縁性、耐劣化性(耐加水分解性)が求められ、PENフィルムとアラミドペーパーが主に使用される。PENフィルムはコストと性能のバランスや、寸法安定性、電気特性、耐久性に優れることから基材や表層材として使用され、アラミドペーパーは耐熱性、機械特性、耐薬品性に優れ、表面の滑り性によるスロットへの挿入のしやすさから外側表層材として広く使用される。この他、PPSやPET、PAなども適性に応じて使用される。

PENフィルムとアラミドペーパーの複層化には接着剤が使用されることが多いが、フィルムを薄くできることから熱融着やプラズマ処理で貼り合わせるなど接着剤を必要しない製品も投入されている。

②防湿気密フィルム国内市場【建材・インフラ分野】
2014年見込2018年予測2014年比
59億円74億円125.4%
富士キメラ総研調べ

住宅壁内の結露防止を目的として断熱材の室内側に貼るフィルムで、ベーパーバリアシートなどとも呼ばれる。断熱材は無機繊維系(グラスウールなど)、木質繊維系、発泡プラスチック系(ポリウレタンフォームなど)があり、防湿気密フィルムは断熱材の中でも主流のグラスウールと共に使用されることが多い。

必須の建築資材ではないため、従来は断熱性ニーズの高い寒冷地での採用が大半であった。しかし、省エネルギー関連の法制度改正や、補助金・優遇策による省エネ住宅の普及促進により、全国的に採用が拡大している。2014年は増税前の駆け込み需要の反動と増税後の住宅着工件数の落ち込みによる需要減があったが、2013年比で5.4%増となった。2020年度に向けて断熱性能を含めた省エネルギー基準適合の段階的義務化が決定していることから、今後も拡大を続けると予測される。

素材としては高密度ポリエチレン(HDPE)を使用した単層のPEフィルムが一般的であるが、高機能品として防湿性能を高めたアルミ蒸着のラミネート品も投入されている。

③ウィンドウフィルム世界市場【自動車用・建築用】
 2014年見込2018年予測2014年比
自動車950億円1,167億円122.8%
建築523億円601億円114.9%
富士キメラ総研調べ

自動車や建築物などの窓ガラスに貼り付け、破損時のガラス飛散を防止するフィルムである。ベースフィルムには加工性、寸法安定性、価格に優れ、飛散防止が可能なPETが使用される。

自動車用は中国需要が中心であるが、今後は自動車需要の増加と共に東南アジアなど新興国が市場をけん引するとみられる。なお、国内ではリアサイドガラス向けが中心であるが、紫外線カットや遮熱などの機能が付与されることで、フロントサイドガラス向けにも採用が進んでいる。

建築用は、飛散防止や紫外線カット、遮熱に加え、断熱や防犯、セキュリティ対策、装飾、調光など幅広い機能が付与される。欧米や日本など先進国の需要が中心であるが、今後は中国、インドネシア、マレーシアなどアジアを中心とした新興国での採用増加による市場拡大が予測される。なお、国内では東日本大震災後に、安全性の見直しなどから公共施設でガラスの飛散防止を目的とした導入や、省エネ効果が期待できる遮熱ウィンドウフィルムの需要が増加したが、2012年には減少し、以降ほぼ横ばいが続いている。

今後も国内市場は横ばいが予想されるが、遮熱や断熱機能を有するフィルムは、震災を契機に認知度が向上し、特に断熱機能を持つウィンドウフィルムは夏場だけでなく冬場の暖房費低減など年間を通した省エネ効果が期待できることから、拡大が予想される。

参考文献:「2015年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望」
(2015年01月23日:富士キメラ総研)

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