高成長電子部品の世界市場 市場動向1

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日本経済は2013年から続く円安の影響により、輸出品目を主軸とした企業の業績が上振れに転じている。しかし、エレクトロニクス市場においては、人件費の安い中国・アジアでの生産が主流となり、好況の恩恵に浴する領域は限定的である。そのため、日系メーカーは、新技術の導入や有望分野に注力した研究開発を強化する方向にある。

個別製品の市場動向をみると、“TV”では、放送の高品位化に伴うディスプレイの高解像度化が進んでいる。一方、日系ディスプレイ/タッチパネルメーカーにとって主戦場であるスマートフォンでは高解像度化、薄型化、低消費電力化の開発競争が続いている。また、デザインの差別化を狙ったフレキシブルAMOLEDの開発が行われている。

“部品実装”では、基板の低誘電化、微細化、高密度化、また半導体パッケージの小型化を鍵とした競争が進み、モバイルデバイスの薄型化、小型化が市場をけん引している。

センサー/光学デバイス市場では、スマートフォンに続いて、ウェアラブル機器、自動車、インフラ、医療などへ応用範囲が拡大し、カメラ機能がスマートフォンの差別化戦略で重要視されていることにより高機能化、高付加価値化が進んでいる。

“熱対策部材”では、スマートフォンの普及拡大、車載電装品の増加などにより需要が増加している。この他に放熱性や導電性に優れ、軽量かつ高強度であるといった機能を持ち、自動車や飛行機、スマートフォンなど多くの分野へ展開が期待できる新素材が開発されている。

これらの市場環を踏まえ、2014年時点で市場規模が1,000億円を超え、かつ2020年の市場伸長率予測が2014年比2倍を超える成長性の高い電子部品を取り上げ、その成長要因を俯瞰してみた。

■大型AMOLED【ディスプレイ関連製品・部材】
2014年2020年予測2014年比
685億円6,478億円9.5倍
富士キメラ総研調べ

タブレット端末やTV用のAMOLED(Active Matrix Organic Light Emitting Diode)を対象とした。

現状ではタブレット端末用が大半を占めており、2014年はSamsung El.のハイエンドタブレット端末で採用が増えたため市場が拡大し、今後もハイエンド機種への採用増加により市場拡大が期待される。

現状はガラス基板を用いたリジッドAMOLEDが主力であるが、今後は「軽量」「薄型」を訴求したパネルにフレキシブルタイプの採用が進むとみられる。他方、TV用はLCDと比べて2倍以上という価格が採用拡大の阻害要因となっており、採用が本格するには時間を要するとみられ、当面はタブレット端末用を中心に市場が形成される。

■部品内蔵基板【実装関連部材】
2014年2020年予測2014年比
182億円832億円4.6倍
富士キメラ総研調べ

部品内蔵基板は能動・受動部品を基板内に埋め込むことにより基板面積を削減し、機器の高機能化と小型化が両立できるため特にモバイルで採用が進んでいる。

2014年はSamsung El.やQualcommのアプリケーションプロセッサにて採用され、スマートフォン用の半導体パッケージ基板向けの需要が増加したため市場は拡大した。一方、カメラモジュールの採用が減少したため、モジュール基板向けは伸び悩んだ。2015年もパッケージ基板向けがけん引するとみられる。

2016年以降は引き続きスマートフォン用の半導体パッケージ基板向けが増加するほか、モジュール基板向けでは通信用RFフロントモジュールへの採用や、産業機器/自動車用カメラモジュールへの展開が期待される。

■OISユニット【光学デバイス】
2014年2020年予測2014年比
371億円1,826億円4.9倍
富士キメラ総研調べ

OIS(Optical Image Stabilizer)ユニットは携帯電話やタブレット端末に搭載される光学式手振れ補正ユニットである。

振動センサーにより撮影時の振動を検知し、レンズの位置や撮像素子の位置を調整し手振れを補正する役割を持つ。また、夜間撮影に対応できるため、スマートフォン購買者への有力な訴求ポイントとなっている。中国をはじめとした新興国では、カメラがスマートフォンの重要な差別化機能となっているため、中国メーカーが積極的に採用を進めており、今後の市場拡大が期待される。

2012年以降OISユニットを搭載するスマートフォンは増加しており、2014年の市場は前年比3倍以上の371億円となった。Apple製品など主要機種での搭載が進んでおり、2015年の市場も前年比2倍以上に伸びると見込まれる。採用増加に伴う受注競争の激化により、単価は徐々に低下すると予想される。

■熱硬化性リフレクター樹脂【エコ照明部材】
2014年2020年予測2014年比
44億円119億円2.7倍
富士キメラ総研調べ

リフレクター樹脂はLED光を効率よく反射させるための樹脂材料であり、今後車載ランプ向けを中心にアルミなどの金属材料からの代替が進むとみられる。熱可塑性と熱硬化性があるが、ここでは単価が高く今後の市場拡大が予想されるエポキシ、シリコーン、不飽和ポリエステル、ハイブリッド(エポキシ+シリコーン)などの熱硬化性を対象とした。

2014年のリフレクタター樹脂の市場は熱可塑性が211億円、熱硬化性44億円となったが、LEDの高出力化により熱可塑性から熱硬化性への移行が進んでおり、熱可塑性は市場縮小が予想される。

一方、熱硬化性は成形過程での材料ロスが少ないためLEDメーカーにとってもメリットが大きく、特に1W以上の高出力LEDで採用が増加しており、2020年には2014年比2.7倍の119億円が予想される。

■有機EL封止用シール剤【ディスプレイ関連製品・部材】
2014年2020年予測2014年比
19億円569億円29.9倍
富士キメラ総研調べ

有機ELディスプレイや有機EL照明で採用される封止用シール剤で、液状のUV硬化樹脂と熱硬化樹脂、シートタイプがある。2014年時点ではスマートフォンやスマートウォッチ用の中小型AMOLED向けが数量ベースで70%以上を占める。

2014年はスマートフォン用AMOLED向けが低迷したものの、全面封止を採用し封止シール剤の使用量が多いTV用AMOLEDの生産拡大に伴い、有機EL封止用シール剤の市場は大きく拡大した。2015年はSamsung Displayがスマートフォンやスマートウォッチ用のフレキシブルAMOLEDの生産を拡大させるため、さらに急速な市場拡大が見込まれる。2019年以降有機ELテレビ市場の立ち上がりによるTV用AMOLEDの需要増加や、有機EL照明向けの着実な伸びが期待され、2020年の市場は2014年比29.9倍の569億円が予測される。

参考文献:「2015 有望電子部品材料調査総覧 (上巻)」
(2015年05月25日:富士キメラ総研)

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