耐熱、光学・透明ポリマーの世界市場 市場動向2

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今回の調査において市場規模を算出した33品目について、2014年~2018年の年平均成長率(販売金額ベース)が高い注目品目を下記に示した。

■今後成長が期待される品目

耐熱ポリマー光学・透明ポリマー
品目用途品目用途
PPS(繊維・フィルム向け)フィルター、自動車透明PIガラス代替促進
PEEK自動車高屈折率硬化性樹脂コーティング剤
芳香族PA自動車透明フッ素膜、ファイバー
耐熱ポリエステルLED、自動車UV硬化系樹脂ナノインプリント樹脂
PPS(コンパウンド)自動車、給湯器透明PAメガネ等

透明PIは、2012年ごろに市場が立ち上がり始めた新興市場であるため、市場形成に伴う成長が見込まれる。ただし、現状小ロットでの供給またはサンプル供給が中心であることから、2018年においても数tレベルの市場にとどまると予測される。高屈折率硬化性樹脂は、カバーシート向けの採用機運の高まりや、光取り出しコーティング剤向けの需要増加により、高成長が期待される。繊維向けのPPSポリマーは中国での環境規制強化によって大きく需要が拡大している。PPSコンパウンドも自動車部品向けに需要が拡大している。10万t以上の市場規模に達しているポリマーの中では、芳香族PAの成長率が高い。自動車部品での金属代替により需要が拡大しているとみられる。

■注目品目の市場動向

1.PPS(ポリフェリレンサルファイド):コンパウンド
 2014年2018年予測2014年比2014~2018年
平均成長率
世界市場705億円944億円133.9%7.6%
コンパウンド市場ベース 富士キメラ総研推定

PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、フェニル基(ベンゼン環)と硫黄が交互に繰り返される分子構造を持つ結晶性熱可塑性樹脂である。荷重たわみ温度が260℃以上、長期耐熱温度200℃前後と、非常に優れた耐熱性を有しており、樹脂の中でも線膨張係数が小さく、トップクラスの耐ヒートショック性を持つ。また、樹脂自体が難燃性を有していること、フッ素樹脂に匹敵する耐薬品性があることも大きな特長である。本項では、PPSコンパウンドを対象とした。

PPSは耐熱性、耐薬品性、低吸水性、樹脂自体の難燃性が高く、自動車部品向け、特にパワーモジュールケースやECUケース、オルタネーターのブラシホルダーなど電装品を中心に採用されている。以前は、ガソリン車1台当たりのPPS使用量が500g程度であったが、近年の採用増加により、現在では1~3kgのPPSが使用されているとみられる。さらに、HVではガソリン車の2倍程度のPPSが使用されており、EV・HVの販売台数増加による需要増加が期待される。

また、電気・電子部品にも採用されているが、部品の小型化などを背景に樹脂使用量が減少していることに加え、LCPなどと競合しており、一定の採用はあるものの需要は横ばいである。その他では、その他では、給湯機器部品など水回り関連の需要が大きい。家庭用燃料電池の市場拡大に伴って需要が増加しつつあること、配管の簡易化ニーズに伴ってジョイント向けの需要が拡大していることなどから、今後も堅調な推移が予測される。


2.PPS(ポリフェリレンサルファイド):繊維・フィルム用
 2014年2018年予測2014年比2014~2018年
平均成長率
世界市場91億円162億円178.0%15.5%
ポリマー市場ベース 富士キメラ総研推定

本項では、繊維およびフィルム向けに供給されるPPSポリマーを対象とした。PPSフィルムは、絶縁材や離型フィルムなど製造工程用フィルムに採用されている。PPS繊維は、近年バグフィルター向けの需要が大きく拡大している。

中国では、石炭火力発電の排出ガスによる環境汚染が深刻な問題となっている。そのため、近年は汚染物質の排出規制強化が積極的に進められており、バグフィルター向けのPPSの需要が急速に拡大している。バグフィルター向けの需要拡大に加え、自動車部品などに使用されるPPSコンパウンドについても需要が好調に拡大しているため、PPSポリマーの供給は非常にタイトになっている。メーカー各社は、ポリマーの増強を計画しているが、2015年は全ての需要に対応しきれない可能性も出ている。PPSの供給が不足した分は、中国内で価格低下が進んでいるPTFEなどフッ素の採用が増加しているとみられる。急速に採用が進んでいるものの、中国の火力発電所におけるバグフィルター設置率は依然として低く、今後もPPSポリマー需要の拡大が期待される。


3.芳香族PA(ポリアミド)
 2014年2018年予測2014年比2014~2018年
平均成長率
世界市場887億円1,234億円139.1%8.6%
コンパウンド市場ベース 富士キメラ総研推定

ポリアミド(PA)は分子中に繰り返し単位としてアミド結合(-NHCO-)を有す線状高分子で、主鎖の種類や構造によってさまざまなPAが開発されている。本項では耐熱性の高い芳香族PA(変性PA6T、PA4T、PA9T)を中心に取り上げた。また、近年ではこれら以外の芳香族PAも上市されており、PA10T、PA11Tなどが挙げられる。

芳香族PAは、車載および電気・電子を中心に市場を形成しており、特に車載用は金属代替で需要が拡大している。電気電子分野では、主に携帯電話・スマートフォン、PCなどのコネクター、スイッチで採用される。個数は増加しているが、小型化・薄肉化の進展により1個当たりの使用量が減少し、市場の伸びはそれほど大きくない。LEDリフレクター向けはPCTやエポキシとの競合が強くなっており、今後も市場は徐々に縮小していくとみられる。


4.UV硬化系樹脂
 2014年2018年予測2014年比2014~2018年
平均成長率
世界市場280億円410億円146.4%10.0%
モノマー/オリゴマー市場ベース 富士キメラ総研推定

UV硬化系樹脂は、紫外線(UV)の光エネルギーにより硬化する樹脂である。熱可塑や熱硬化と違い、熱プロセスや熱乾燥などのプロセスを簡略化できる。しかし、紫外線照射を行う設備投資が必要なことから、利用用途は限られている。UV硬化系樹脂の主な利用用途は、UVにより数秒で硬化が可能なことから、粘着剤や接着剤、インキ、コーティング材などとして利用されている。

近年3Dプリンターの市場が、急激に拡大する中でUV硬化系樹脂の利用が増加した。PAやABSなどの熱可塑性樹脂タイプの需要も多いが、UV系は成形品としての再現性の高さが評価されている。その他の用途では、ナノインプリント用樹脂としての市場拡大が目前に迫っている。既にウェハレベルレンズなどの用途では市場形成されているが、今後はLEDやNAND用プロセスの回路原板としての採用が見込まれている。

参考文献:「2015年 耐熱・光学ポリマー市場の現状と将来展望」
(2015年08月25日:富士キメラ総研)

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