二輪車向け電装システムの世界市場 市場動向3

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本レポートは、二輪車への搭載が進むフューエルインジェクションシステム(FIS)の現状と今後の予測を記載する。フューエルインジェクションシステムは、ガソリン量を電気的に制御して燃焼室に供給する電子制御燃料噴射装置で、クリーンな排ガスを排出させるシステムである。各国での排ガス規制の厳格化により、今後キャブレターから当該システムへの代替が進んでいく。現状の二輪車生産地域別FI化動向と今後の予測を記載する。

■内燃式二輪車生産に占めるフューエルインジェクションシステム搭載化推移

千台、(FI搭載比率)
 2014年実績2020年予測2025年予測
WW合計生産台数57,74264,61274,822
FI搭載車17,190(29.8%)40,805(63.2%)58,778(78.6%)
日本生産台数595628597
FI搭載車540(90.8%)628(100%)597(100%)
EU生産台数655720741
FI搭載車650(99.2%)720(100%)741(100%)
NAFTA生産台数692597560
FI搭載車650(93.9%)597(100%)560(100%)
中国生産台数18,90514,52613,201
FI搭載車850(4.5%)9,700(66.8%)11,880(90.0%)
インド生産台数18,49830,65541,216
FI搭載車350(1.9%)13,790(45.0%)28,400(68.9%)
その他地域生産台数18,39717,48618,507
FI搭載車14,150(76.9%)15,370(87.9%)16,600(89.7%)
富士キメラ総研推定

2014年実績において、日本、EU、NAFTAで生産された二輪車に対して94.7%の搭載率となった。一方で、中国やインドでの搭載率は1桁台と非常に低く、それぞれ4.5%、1.9%であった。今後、フューエルインジェクションシステムの搭載台数は拡大し、EUは2017年に、日本とNAFTAは2018年に搭載率100.0%になるものとみられる。

今後中国やインドも、排ガス規制の施行が背景となり搭載比率は高まっていくが、インドは規制施行の遅れや燃費重視型の国柄である事から、2025年においても搭載率は68.9%となる見込みである。ワールドワイド全体でも2025年には78.6%の搭載率と予測される。

■地域別内燃式二輪車生産推移と電装化動向

①日本千台
年次2014実績2020予測2025予測
生産台数595628597
 モペッド767266
 小型313534
 中型93102100
 大型395419397
富士キメラ総研推定
生産推移と電装化動向
生産製品は内需向けに限らず、中型・大型車を中心にEUやNAFTAへの輸出が堅調である。

排ガス規制の強化により、内需向け二輪車はフューエルインジェクションシステムの搭載が加速している。2018年に搭載率100%となる。

ABS(ブレーキ制御システム)搭載比率は現在25%前後で、2018年以降中・大型車の搭載が義務化される。


②EU千台
年次2014実績2020予測2025予測
生産台数655720741
 モペッド146160165
 小型113127130
 中型423838
 大型354395408
富士キメラ総研推定
生産推移と電装化動向
大型自動二輪車の生産が中心で、EUメーカーが主体である。排ガス規制EURO-4、5対策としてフューエルインジェクションシステムの搭載が必須である。

EURO-5対策としてさらなる緻密制御が必要となり、センサーや小型モーターなどの電装品やECUの搭載が今後増加していく。

二輪車の排気量により、2016年から順次ABSの搭載が義務化される。


③NAFTA千台
年次2014実績2020予測2025予測
生産台数692597560
 モペッド685551
 小型979494
 中型1099285
 大型418356330
富士キメラ総研推定
生産推移と電装化動向
米国は、大型自動二輪車の生産拠点が点在し、メキシコでは、モペッドや小型自動二輪車の生産が中心で、内需向けや米国向けの出荷が行われている。

大型自動二輪車は、フューエルインジェクションシステムやABS搭載など電装化が進んでいる。2018年にFI搭載率100%となる。

排ガス規制対応に向けた新型エンジンの開発が大手メーカーを中心に行われている。


④中国千台
年次2014実績2020予測2025予測
生産台数18,90514,52613,201
 モペッド1,399970858
 小型12,7629,8028,845
 中型4,7263,7333,472
 大型182126
富士キメラ総研推定
生産推移と電装化動向
小型自動二輪車の需要が高く、2014年の生産台数ベースで内燃式二輪車の67.5%を占める。生産製品は、内需向けに販売されている(中国メーカーが主体)。

排ガス規制(国4、国5)対策として、パワートレインは電動システムを搭載する方向性とフューエルインジェクションシステムを搭載する方向性に分かれて開発が進められている。

2014年のFI搭載率は4.5%で、2020年で70%弱と見込まれる。


⑤インド千台
年次2014実績2020予測2025予測
生産台数18,49830,65541,216
 モペッド2628111,283
 小型13,24220,52527,280
 中型4,7728,58911,643
 大型2227301,010
富士キメラ総研推定
生産推移と電装化動向
生産台数は小型自動二輪車が圧倒的に多く、75~125ccクラスがエントリーモデルである。生産製品のほとんどは内需向けで、近年はアフリカや隣国のバングラデシュ向けの生産割合が増加している。

インドの排ガス規制は、3成分(NOx、CO、HC)でなく2成分であるため、FIの搭載は進んでいない。日系メーカーの車種、インドメーカーのハイエンド車種に限られている。

2014年のFI搭載率は1.9%で2020年でも45%程度と見込まれる。国は電動バイクの普及を進めている。


⑥その他の地域
 内燃式二輪車 千台生産推移と電装化動向
2014実績2020予測2025予測
インドネシア7,9247,7358,8332014年小型車生産86%を占める。日系メーカー主体(ホンダ、ヤマハ2社で86%のシェア)である。FI搭載車増加。
タイ1,8411,5961,5602014年小型車生産67%を占める。日系メーカー主体(ホンダのみで74%シェア)で、ホンダ車FI搭載比率100%である。
ベトナム2,8522,5382,4442014年小型車生産48%、中型生産49%である。ホンダ、ヤマハの2社で91%シェアである。FI搭載車は、生産台数の100%に近い。
ブラジル1,5171,2781,2332014年中型車生産50%を占める。ホンダ、ヤマハの2社で94%シェアである。石油とサトウキビ由来のバイオ燃料との混合燃料が多く利用されている為、早くからFI搭載車が増加している。
富士キメラ総研推定

参考文献:「二輪電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2015」
(2015年09月28日:富士キメラ総研)

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