製造向け・サービス系ロボットの世界市場 市場動向1

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現在、製造業の自動化が加速し、Industrie4.0、Industrial Internet、IoTなどを背景とした柔軟な生産システムが現実味を帯びてきた事で、自動化の一手を担うロボットも変革期に来ている。製造業向けロボット市場は、中国をはじめとした人件費高騰、労働力不足、品質安定化を背景に市場拡大した。自動化が加速したことによりアプリケーションの裾野が広がり、産業機器、食品、医薬品などへもロボットの導入が広がっている。サービス系ロボット市場では、国際安全規格「ISO13482」の制定と介護保険の適用拡大により医療・介護・福祉系ロボットの需要拡大が見込まれる。また、老朽化するインフラの整備・点検・測量用途での導入が期待されるドローン・無人ヘリが登場している。「Pepper」のようなクラウドAIを活用したコミュニケーションロボットなど、サービス系ロボット市場は今後本格化の兆しを見せている。
今回は、製造業向け、半導体・電子部品実装向け、サービス系ロボットの世界市場を2回に分けて解説する。

■製造向けロボットの世界市場
 2015年2020年予測2015年比
製造向けロボット5兆8,547億円6兆3,707億円155.4%
溶接・塗装系2,357億円3,223億円136.7%
アクチュエータ系408億円542億円132.7%
組立・搬送系3,484億円4,830億円138.6%
クリーン搬送系695億円748億円107.6%
次世代・安全系166億円1,709億円10.3倍
富士経済推定

対象品目(17品目)
溶接・塗装系1.アーク溶接ロボット 2.スポット溶接ロボット 3.塗装ロボット
アクチュエータ系4.単軸ロボット 5.直交ロボット 6.電動スライダ
組立・搬送系7.卓上型ロボット 8.パレタイジングロボット 9.取出しロボット 10.スカラロボット 11.小型垂直多関節ロボット(可搬重量20kg以下) 12.垂直多関節ロボット(可搬重量21kg以上) 13.パラレルリンクロボット
クリーン搬送系14.ガラス基板搬送ロボット 15.ウエハ搬送ロボット
次世代・安全系16.協調・共存ロボット 17.センシティブロボット

2015年は中国をはじめとした人件費の高騰、労働力不足、品質安定化を背景にロボットを活用した自動化需要が高まり、市場が拡大した。自動車、食品、医薬品など様々な分野でロボットの導入が広がっている。

今後は東南アジアやインドなどで自動化需要が広がるほか、Industrie4.0、IoTの取り組みを背景にロボットを活用した柔軟な生産システムのニーズが拡大するとみられる。また機械学習、自律ロボットなどの新しい技術が導入されていくことで、市場は拡大していくとみられる。

1)溶接・塗装系ロボット
2015年の溶接・塗装系ロボット市場は欧州や北米での設備投資が好調であり、市場規模は拡大したものの、これまで好調であった中国に加えタイ、インドネシア、メキシコなど日系自動車メーカーが設備投資を行っていた新興国に於いて一服感が見られた為、市場成長率は鈍化している。

今後は、製造業の自動化ニーズ拡大によりローカルユーザーへと裾野が広がっていることもあり、再び中国を中心に市場拡大が見込まれる。また、東南アジアやインドでは二輪車の需要が拡大しており、特にアーク溶接ロボットでは需要拡大が期待される。日本や北米、ドイツや東欧などの欧州でも自動車関連の設備投資は継続的に行われる見通しであり、市場は拡大すると予想される。しかし、欧州では一部設備投資を縮小させる動きもあり、大幅な市場拡大は見込めない。

2)アクチュエータ系ロボット
2015年のアクチュエータ系ロボット市場は、スマートフォン関連の下支えに加え、自動車関連も好調に推移した ことから、市場規模は拡大している。また、EMSの特需もあり市場の伸びを加速させている。特に、直交ロボット、電動スライダ市場に於いては顕著である。2016年以降もスマートフォンや電子デバイス関連を中心に、自動車関連の設備投資は継続すると予想され、市場規模は拡大が見込まれる。中国や東南アジアなどでローカルユーザーも、自動化への動きを加速しており、安価なロボットを採用する傾向から、数量ベースの伸び対して金額ベースの伸びは今後緩やかになると予想される。

3)組立・搬送系ロボット
組立・搬送系ロボット市場は、スマートフォン関連や自動車関連の需要拡大を下支えに様々なアプリケーションでロボットを活用した自動化が進み市場拡大している。特に中国を中心としたアジア市場は人件費の高騰、労働力の不足を背景に、品質の安定化などを目的として自動化ニーズが増加しており、EMSや現地日系、欧米系ユーザー向けから現地ローカルユーザーへと自動化の裾野が広がっている。今後も、自動化の流れは継続するものと予想され2016年以降も市場拡大が見込まれる。

4)クリーン搬送系ロボット
ガラス基板搬送ロボット市場は、中国、韓国、台湾などのアジア系大手ディスプレイメーカーの設備投資が好調であり、数量ベースで二桁成長を実現したものの、金額ベースで横ばいとなった。背景にはロボット単価が低い中小型ディスプレイ用の当該ロボットの採用が多かったことに加え、液晶パネルの価格が下落していることにより、設備自体の単価が下落している。特に中国では、その傾向が顕著であり、低価格化が一層増している。2016年は台湾に於いて設備投資が縮小することや中国、韓国でも設備投資は継続されるものの、大規模な設備投資は行われない見通しであり、市場は縮小すると予想される。

ウエハ搬送ロボット市場は、半導体メーカーの設備投資が好調であり、半導体製造装置市場も拡大した為、市場は拡大している。特に大手半導体製造装置メーカーが存在している日本、北米市場では堅調であった。スマートフォンなどのモバイル機器に加え、IoT関連で半導体の需要拡大が期待されており、サーバや通信インフラ、自動車、産業機器向けへの採用拡大が期待されており、今後も成長が見込まれる。

5)次世代・安全系ロボット
協調・共存ロボットは、組立作業や搬送など人が作業しているスペースへの置き換えや、人に近い動作、作業内容、作業環境での利用を想定したロボットである。出力80W以下のロボットが多く、作業者との共存作業や作業者と協調した作業が可能である。2015年は協調・共存ロボット市場はABB、川崎重工業など総合ロボットメーカーが当該市場に参入してきたことにより、市場が急拡大している。当該市場は、簡易ティーチング、立ち上げの早さなどが労働力を確保または削減したいEMS向け、Industrie4.0やIoTなどのコンセプトにより多品種少量生産の自動化の解決手段として、需要拡大が期待される。

センシティブロボットは、ロボット本体に各種センサを内蔵し、速度制限や力制限、衝突防止、衝突回避などを行うことで、人のそばでの作業や人との協調作業を実現したロボットである。2015年はKUKA Roboterの「LBR iiwa」が本格導入され、ファナックの「CR-35iA」も販売開始したことから当該市場は導入期を迎えている。2016年はファナックが低可搬重量タイプのラインナップを拡充する予定であり、KUKA Roboterの「LBRiiwa」も量産ラインへの導入が更に進むことが予想され、市場拡大が見込まれる。

参考文献:「2016 ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望」
(2016年03月03日:富士経済)


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