人工知能ビジネスの国内市場 市場動向1

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人工知能は、人工知能エンジンと認識エンジン(画像/映像/音声/文字/数値)を組み合わせて正解を導き出したり、推論エンジンと組み合わせて推論・予測を行ったりする一連のサイクルを実行する仕組み(環境)を人工知能と定義した。さらに認識、推論・予測結果に基づいて、自動的に判断・実行するといった高度な利用も検討されている。

人工知能ビジネス市場は、人工知能を活用した分析サービスや、人工知能環境を構築するためのシステムインテグレーション、人工知能環境を支えるハードウェア/ソフトウェア/クラウド、人工知能を搭載したアプリケーションの研究・開発・提供など、人工知能に関わるシステム/サービスを対象とした。

日本は少子高齢化に伴う労働力の減少という課題がある。「人工知能が職を奪う」という懸念が取り沙汰されることもあるが、近年人工知能を活用して労働力不足を補うことで日本経済を活気づける契機とする官民一体となった取り組みを進めている。今後さらに日本は人工知能への注力度を高めて行くとみられる。

今回は、業種別の人工知能ビジネス市場動向と人工知能活用が期待される注目市場を解説する。


■人工知能ビジネス市場規模
1.需要業種カテゴリー別市場
 2015年度2020年度予測2030年度予測
合計1,500億円100%1兆20億円100%2兆1,200億円100%
製造業315億円21.01,680億円16.83,340億円15.8
流通/サービス150億円10.0985億円9.82,120億円10.0
金融業495億円33.02,820億円28.15,860億円27.6
情報通信業270億円18.01,720億円17.23,680億円17.4
医療/ライフサイエンス100億円6.7500億円5.01,030億円4.9
公共/社会インフラ155億円10.32,015億円20.14,520億円21.3
その他業種15億円1.0300億円3.0650億円3.1
富士キメラ総研推定


2015年度の市場は三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行といったメガバンクのコールセンター導入で先行している金融が495億円と最大規模となっている。2020年度時点でも保険、FinTechへと導入が広がる金融が最大規模とみられる。

2015年度から2020年度までの市場の年平均成長率は46.2%と高く、それを上回る業種は、その他業種を除くと、公共/社会インフラの67.0%である。公共/社会インフラは防災/防犯、スマートシティやスマートグリッドなどでIoTやビッグデータ分析と人工知能関連技術を組み合わせた活用が進んでいくとみられる。


2.需要業種別の有望ソリューションの動向
製造業・産業用機器の故障予知/異常検知、産業ロボットの自動化(複数のロボットの一斉教育)など、IoT領域での活用が進んでいる。
・経営/生産管理では、受注状況、在庫数、仕掛かり在庫数などのデータを活用する生産管理が主体である。
・製品開発ではCAD/CAMを用いたシミュレーション用途が先行している。
流通/サービス・店舗向けでは、コミュニケーションロボット、タブレット端末、映像カメラなど利用端末は多岐にわたっており、ソリューションも接客、顧客分析、防犯などと幅広く、今後高い成長が期待される。
・マーケティング用途では、構造化データと非構造化データを分析することで、効率的なオムニチャネルの実現が可能であり、既にデータマイニングを活用した取り組みが行われている。今後市場規模の拡大が期待される。
金融業・コールセンターにおけるオペレーター支援での導入が先行しており、チャネル系/顧客管理系が金融市場をけん引している。
・FinTech関連では家計簿/資産管理などのBtoC向けソリューションが先行しているが、将来は、保険向けの「InsurTech」の成長が期待される。
・その他では、現在、人手で行っている文書作成やデータエントリー業務が人工知能で実行されていくことが想定される。
情報通信業・DeNAやドワンゴなどの大手プロバイダーが人工知能への投資を拡大しており、膨大なユーザー情報と人工知能を活用した、新たなサービスやコンテンツの開発が進められている。
・大手SIerでは、自社開発の人工知能を補完する形で、他社の人工知能技術を活用したソリューションの開発を進めている。
・広告関連では、アドテクノロジーでの活用が有望ソリューションとして期待される。ルールベースから機械学習を用いた配信システムを構築することで、個々人に最適な広告配信が実現されていく。
医療/ライフサイエンス・レントゲン写真やMRIの画像診断分析に人工知能を活用する動きが先行しているが、将来的に電子カルテなどの診断データも含めた診断支援への活用が期待される。
・新薬開発では、臨床試験解析業務や臨床試験における被験者選出支援などで人工知能の活用することで、新薬開発に関わる費用と期間の軽減が期待される。
公共/社会インフラ・「2020東京オリンピック・パラリンピック」開催に向けたセキュリティ対策の一環として人工知能を活用した防犯ソリューションの導入が先行して進むものと見られる。
・防災ソリューションでは、既存の映像を活用したシステムに加え、人工知能を活用することでより精度の高い分析が可能となり、2020年以降の積極的な採用が期待される。

3.ビジネスカテゴリー別市場
 2015年度2020年度予測2030年度予測
合計1,500億円100%1兆20億円100%2兆1,200億円100%
上位サービス135億円9.0902億円9.01,696億円8.0
SI895億円59.75,012億円50.01兆358億円48.9
プロダクト300億円20.02,235億円22.34,134億円19.5
クラウドサービス150億円10.01,553億円15.54,326億円20.4
その他20億円1.3318億円3.2686億円3.2
富士キメラ総研推定

上位サービスコンサルティング、導入検証、各種導入支援、ワークショップ開催、人工知能技術を活用した分析サービス。
SIシステム設計・構築、受託開発。
プロダクトソフトウェア/ハードウェア(サーバー/ストレージ/ネットワーク機器)。
クラウドサービスSaaS/IaaS/PaaS。
その他トレーニング、セミナー開催。


2015年度の人工知能ビジネスの国内市場は、製造や金融、情報通信業の大手企業における個別開発が中心であったことから、SIやハードウェアの市場規模が大きくなっている。個人情報や顧客情報を学習データとして取り扱うユーザーでは、セキュリティを重視してオンプレミスで人工知能環境を構築しようとする傾向が今後も続くとみられる。

単なる数値データであるセンサーデータやPOSデータ、インターネット上で公開されている口コミなどのソーシャルデータの分析に関しては、クラウドサービスのSaaS/IaaSをインフラとした人工知能環境も構築されていくとみられる。また、オンプレミス/クラウドサービス上で稼働するアプリケーションに関しても、現状個別開発が中心であるが、今後は人工知能を標準で搭載したソフトウェアやSaaSが拡大していくとみられる。


参考文献:「2016 人工知能ビジネス総調査」
(2016年09月30日:富士キメラ総研)


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