高機能分離膜・フィルター市場 市場動向2

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今回は注目される分離膜/フィルター製品市場を解説する。


■水処理膜の市場(国内市場+日系企業の海外売上)
 2015年実績2020年度予測2015年比
水処理膜全体929億円1,274億円137.1%
MF/UF膜142億円181億円127.5%
MBR180億円262億円145.6%
MBR607億円831億円136.9%
富士経済推定


<MF/UF膜>
当該市場は、アジア地域や東欧地域、中東地域等の新興国の産業用水・排水処理向けでの利用が高い。地下水や河川水を取水源とする工業用水向けやボイラーやクーリングタワー向けのユーティリティ用水処理、純水製造用途で利用されている。高い水質グレードへの要求の高まりから、凝集沈殿ろ過や砂ろ過などの従来技術から膜処理に変更する事業所も増えつつある。またRO膜の寿命を延ばすため、RO膜の前処理用途でMF/UF膜を使うシーンも増えており、中東の海水淡水化案件では、10万トン/日以上のクラスの案件でもRO前処理でMF/UF膜が採用され始めている。今後の需要拡大が期待される。

<MBR>
MBR市場は公共下水処理場向けが中心であり、既設の下水処理場の増設案件や新規案件等の需要が新興国でも増加している。東南アジア地域では、まだ下水処理向けのMBR案件は少ないながらもマレーシアやフィリピン等の主要都市での導入が見られつつある。中東地域では、主要都市においてインフラ開発やビル開発が進む中、レイバーキャンプ向けの生活排水処理向けのMBR案件や病院排水処理などでMBR案件の需要が増加している。また、中国メーカー等の市場参入で膜単価は毎年2~3%ずつ下落しつつあり、価格競争も激化している。

<RO/NF膜>
RO/NF膜はリプレイス主体の市場である。参入企業が更新需要をどれだけ計画通りに確保できるかが売上に大きく影響する。市場の2割を占める中国市場も重工業系を中心に設備投資が冷え込んでおり、厳しい状況が続いている。中国以外のアジア地域では、インドや東南アジアにおいてここ数年市場成長が著しい。当該地域では電力インフラの整備が進む中、新たな発電所の建設増加が見込まれることに加え、地方都市での工業団地の開発が増えており、団地の用排水処理需要及び団地に入居する企業の工場向け用排水処理需要が急速に拡大している。ユーティリティ向けや純水製造用途でのRO膜需要は急拡大しており、主要メーカー各社はアジアへの注力度を高める傾向にある。


■脱気膜の市場(国内市場+日系企業の海外売上)
 2015年実績2020年度予測2015年比
脱気膜60億円94億円156.7%
富士経済推定


当該市場は超純水製造の水処理や現像液、レジストの脱気処理で採用されており、半導体の設備投資動向の影響を受けやすい。スマートフォン需要の増加、半導体デバイスの高品質化による工程数の増加、超純水供給サービスの成長によって、電子産業向け脱気膜の需要は成長傾向で推移している。今後は中国政府が半導体産業への投資を強化する方針であり、脱気膜市場のさらなる拡大が期待される。

産業用インクジェットプリンタ向けの脱気膜は繊維向けや壁紙印刷など様々な業界での用途展開が進んでおり、市場拡大が続いている。欧米を中心とした市場であるが、近年は中国やインドなどアジアでの採用が進んでおり、今後の更なる需要増加が見込まれる。

新規用途はオイル&ガス分野が注目される。脱気膜は天然ガスやシェールガスなどの採掘にも利用でき、将来的に環境保護を目的として薬品投与の規制が施行された場合には、脱気膜市場の大幅な成長が見込まれる。


■アルコール脱水膜の市場(国内市場+日系企業の海外売上)
 2015年実績2020年度予測2015年比
アルコール脱水膜2.9億円12億円4.1倍
富士経済推定


当該製品市場はこれまで、バイオエタノールの製造プラント向け、溶剤回収向けが主であったが、耐酸性、耐水性の向上が図られた製品が上市されたことにより、エステル製造工程での脱水用途向けや、石油化学工場におけるイソプロピルアルコールの混合物からの脱水用途等、使用用途の多様化が進み、需要は増加傾向にある。

現在、アメリカやブラジルを中心として世界各国で、カーボンニュートラルかつCO2排出の抑制に繋がる燃料として、バイオエタノール利用が普及しつつある。アメリカにおいては210基のバイオエタノール製造プラントが稼動しているが、米国環境保護庁(EPA)は更なる生産量の増加を計画している。

長期的には中国や東南アジア諸国など、糖質系のバイオマス賦存量の多い地域にてバイオエタノール製造プラントの新設案件数の増加が期待できる。こうした地域にてプラントの開発や設計、実証試験段階から関わり、膜分離による脱水方法を推奨することで需要の囲い込みが図れれば、市場は更に拡大する可能性がある。


■食品・医薬プロセス用膜の市場(国内市場+日系企業の海外売上)
 2015年実績2020年度予測2015年比
食品・医薬プロセス用膜45億円52億円115.6%
富士経済推定


食品分野では醤油や酢などの醸造食品、清酒やビール製造プロセスでの除菌や清澄化用途でMF/UF膜が採用されている。生酒製造や酢の生産で珪藻土ろ過システムから膜ろ過システムへの置き換えや、醤油の生産プロセスでの需要がある。今後の食品分野における注目市場は、機能性素材分野、サプリメントなどのヘルスケア分野、酵素分野などが挙げられ、プロセス用膜の市場拡大が見込まれる。

医薬分野では酵素や抗生物質の濃縮・精製、無菌水、パイロジェンフリー水の精製などで膜処理プロセスが導入されており、約10年前からジェネリック医薬品の普及、ワクチンの増産などを背景に、需要が伸びてきた。


参考文献:「高機能分離膜/フィルター関連技術・市場の全貌と将来予測 2016」
(2016年11月15日:富士経済)


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